一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会会長 河野 慶三

働く人と組織を支える
全国研究大会in 中部にようこそ

「多様な生き方へ 働く人と組織を支える」をテーマとして、第46回産業カウンセリング全国研究大会を2017年5月27日、28日の2日間、名古屋市で中部支部の担当で開催する運びになりました。多数の会員の皆様のご参加をお願いします。

再開第1回の沖縄に続いて、昨年の産業カウンセリング全国研究大会はさいたま市で行われ、およそ1900人の方が参加されました。私は、大会の意義として、会員が集まって知見を交換すること、産業カウンセラーとして活発に活動している会員とのじかの接触によるエンカレッジメント、組織構成員としての組織への一体感を肌で感じることを挙げてきましたが、その点についてはほぼ満足できる結果が得られていると考えています。また、対外的には、産業カウンセラーの社会的な認知度を上げる役割を果たしていると感じます。

働く人を取り巻く状況が大きく変化しています。わが国では、多くの領域で人手不足が顕在化しました。長年培ってきた技術の次世代への継承にも支障が出る事態となっています。新卒者の就職率にはこのところ改善が見られますが、他方では大学新卒者の3年後の離職率は相変わらず30%を超えています。非正規雇用の増加にも歯止めがかかっていません。働く人一人ひとりが経済的・精神的に不安定な状態に置かれており、長期的な展望を持つことが難しくなっています。これがメンタルへルス不調者を出す要因のひとつになっているということができるでしょう。

働く人の多様性、働き方の多様性を認めようという動きは、このような閉塞した状況を打開していく処方箋のひとつとして出てきたものですが、これまで一様であることをその強みとしてきたわが国の企業風土にはそう簡単に受け入れられないのが実態でもあります。どうすれば快適な職場環境が醸成できるのか、解決法は現場にしかありません。

好むと好まざるとにかかわらず、産業カウンセラーにはキャリアの問題も含めて、その活動の一端を担うことが求められています。行動を起こすことが必要です。この大会をそうした行動を起こす突破口のひとつとして活用してくださることを望んでいます。

今回の基調講演の題目は「多様な生き方と自律的キャリア~組織と個人の関係を考える~」です。講演は法政大学キャリアデザイン学部教授の武石恵美子先生にお願いをしました。さらに、特別講演として、ダイバーシティコンサルタントの渥美由喜先生に「ワーク・ライフ・バランスを考える」と題してお話を伺うことになっています。分科会のテーマは次の7つです。

① 産業カウンセラーの実践力を高めるには
② 産業社会の期待に応えるには
③ 新たな事業の取り組みについて
④ 多様化する労働者のメンタルへルス対策
⑤ 時代の変化に応えるキャリア開発支援を考える
⑥ ポジティブな人間関係開発~働く人の人間的成長を目指して~
⑦ 講演:「21世紀のキャリア支援」(井上孝代氏 臨床心理士)、「宗次流人生観」(宗次德二氏 カレーハウスCoCo壱番屋創業者)

その詳細についてはプログラムをご覧いただきたいのですが、①〜③は一昨年からの継続テーマであり、今回が区切りの年になっています。また、⑦でお話しいただく宗次德二さんのインタビューが、会報誌2016年11月号33~34ページに掲載されています。
会員の皆様が“名古屋”の地に集まり、大会に深くコミットしてくださることを今年も期待しています。